ジャコビニ彗星の昼下がり

好きなこと好きなだけ書く Twitter @sasanoha_yureru

あの日 わたしの目でみたもの

 

書くか書かないか、ずっと迷っていたけど、書きとめておかないと忘れて、現実にみたものと思えなくなってしまいそうだから。まだ、まだ少し現実のものと思えているうちに書いておこうとおもう。これは、わたしの記憶。

 

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あの日、わたしはEXシアターのスタンディング後方にいて、いつものようにライブの始まりをわくわくしながら待っていた。

overtureが流れて、映像が流れる。

正面の大きなスクリーンが半分に割れて、スモークの中から姿を現わす5人。

そしてだんだんと立ち込めていたスモークが消えて、5人のかたちがはっきりとした。

わたしがそれまで見ていた公演では、HJポーズを5人全員で天に掲げた状態でステージに立っていた。

 

でもあの日、5人は肩を組んでいた。

力強く、肩を組んでいるように見えた。

5人がいつもより眩しく見えたと同時に、肩を組む5人の姿に、なぜか10代の彼らの等身大を見た気がした。

いつもは10代とは思えないぐらい、常識を新しいやり方でぶっ壊すような強いつよい5人なのに。

どうしてだろう。

肩を組み、支え合う姿に、逆によわさや、強さの裏にある繊細さを感じるような、そんな情景だった。

 

そしてわたしの目は、そんな5人の姿から彼に焦点を当てる。

彼はいつも登場直後から客席を見つめて笑っていて、ニヤッと不敵な笑みをたたえている。

でも、この日はその笑顔の中に照れくささが混じっているように感じた。

今日は彼、なんだか少し違う気がするな、ってそう思った。

カメラとのおふざけタイムも、なんとなくいつもよりにやりとしていた。

やっぱりいつもよりたのしいのかな、今日は。

そう思っていた。

 

わたしがその存在に気づいたのは、たぶん本編最後、バルコニーに回った時だったと思う。

メンバーの2人が下手側の客席に座っている人たちににっこりと笑って、ぺこぺことお辞儀をしていた。

 

「あ、誰かの家族なんだ。」

 

わたしの目の焦点はそのご家族に移った。

 

「あれ、もしかして」

 

そう、ぼうっと思った時。

彼が下手通路を渡って、バルコニーにやってきた。

その女性は、うるんだ目で、とてもまぶしそうな、あたたかな眼差しで(わたしにはそう見えた)彼のことを見つめていた。

女性は何かを彼に伝えるように、何度もうなづいていた。

彼はその眼差しに、うなづきに、「うんうんうんうん」とやさしげな顔で、何度もうなづいて応えていた。

彼はうなづきながら、女性の眼差しから目をそらすことをしなかった。

 

時間にしたら、ものすごく短い、ほんの一瞬の出来事だったけれど、その一瞬は焼きついてわたしの中からずっと消えなかった。

見てはいけないものを見てしまったと、罪悪感がこみ上げてきてしまって。

だって、あの彼は、ただの、ただの男子高校生だったんだもの。

だから今日、あんな風に笑っていたのかと。

照れくささが混じった笑顔で笑っていたんだと。

いつもわたしたちが見ている彼から少しこぼれた、普通の高校生の姿だったんだなぁとそう思った。

 

次にその女性のことを思った。

自分の子どもが、ステージであんな風に輝いている姿をみたら、どんな気持ちだろうって。

そんなこと今まであんまり考えたことがなくて、初めての気持ちで胸がいっぱいになって、くるしくて、くるしくてたまらなかった。

どんな思いで、これまで彼のことを見つめて、支えてきたんだろうと。

この気持ちを、どう書き表していいか、ずっとわからずにいる。

これを書いている今もなお。

わたしはアイドルのことが大好きで、素晴らしい存在だと思うけれど。

でもきっと、周りにいる人からしたら、そんな風に思えない部分もあっただろうし。

先行きがみえなくて、身体的にも精神的にも不安定な期間を厳しい世界で戦う自分の子どものことを、どう思っているだろうかと。

 

でも、でも、きっとステージで歌って踊ってローラースケートで華麗に舞う彼の姿は、その女性の目に眩しく映ると思った。

わたしが感じているものなんかよりも、もっと、もっと眩しく。

そうじゃないと、あんな表情にならないと思うから。

 

なんの気持ちなんだろう。

わからない。

いろんな気持ちが混じり合って見たこともない色になった。

でも、でも、そのいろんな気持ちが混ざりあった中で、やっぱり彼のことがすきだなぁと。

そう思った。

人間として、とても素敵な人だなぁと。

だから、アイドルとしても大好きだけれど、でもどうか1番はあなたが幸せであってほしいと、そう祈ってしまう。

 

彼が、どうしてあんなにもやさしくて、おだやかで、みんなに愛される人なのか、少しわかった気がして、その日は涙が止まらなかったよ。

そんな瞬間に、出会えたこと。出会ってしまったこと。少し垣間見れたこと。有り難く受け止めて。

そして彼のことをもっと力強く、たくさんのことから守れるように、微力ながら応援していきたいなと、そう思ったあの日の記憶でした。

 

まとまりがなくてごめんね。

 

おわり。